FXトレードそのものがリスクを抱えています。
少額の資金にレバレッジをかけて取引をするわけですから、思わぬ莫大な損失が生じることもありますし、急激な為替変動のあおりを受けて高額な追証を請求されることもあります。
リスクを抱えているという点では国内FX業者も海外FX業者も同じですが、海外FX業者ならではのリスクというものも存在します。
今回は海外FX業者ならではのリスクをその防御策を紹介しますので、これから海外FX業者で口座を開設しようと考える方はぜひご覧ください。
海外FXならではのリスク1:日本の金融庁で正規登録していない
ハイレバレッジが特徴の海外FX業者は、すべて日本の金融庁に正規登録していません。
日本の金融庁にFX業者として登録するためには、利用できるレバレッジが最大でも25倍以下でなければなりませんので、数百倍、数千倍のレバレッジを適用できる海外FX業者は登録すること自体が不可能なのです。
実際に金融庁では日本で営業している無登録業者の名前を公開し、日本のFXトレーダーに利用しないようにと注意を喚起しています。
出典:金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」
対処方法:海外の金融庁で正規に登録しているか確認する
オンラインで世界がつながった現在、インターネットでアクセスできるすべての地域の金融庁に登録することはほぼ不可能です。
国によって最大レバレッジだけでなくさまざまな基準が異なりますから、すべての国の法律を満たす業者は存在しえないからです。
日本の金融庁の基準を満たしている業者を利用したいトレーダーは、日本のFX業者と契約すれば事足ります。
海外FX業者を利用する日本人トレーダーは日本の金融庁の基準外のルールでFXトレードを行いたいわけですから、海外FX業者が日本の金融庁の基準を満たしていては何のメリットもないのも事実ですよね。
とはいえ、まったくの無ライセンスのFX業者を利用するのも不安です。
かならず1ヶ国以上の金融庁からライセンスを得ている業者を利用するようにしてください。
海外ライセンスを得ているか確認する方法
海外FX業者の会社案内のページを見ると、どこの国の金融庁の許可を得ているかが記載されています。
しかしながら、悪徳業者は公式サイトに偽の情報を掲載している可能性がありますので、公式サイトに記されている情報を鵜呑みにするのは禁物です。
公式サイトに記載されている情報を元に、各国の金融庁のホームページで本当に業者登録されているか調べてみましょう。
例えば海外FX業者のXMでは、公式サイトにセーシェルの金融庁で業者登録していると記載されています。
実際にセーシェルの金融庁に登録しているのか、セーシェルの金融庁のホームページで検索してみましょう。
セーシェルの金融庁に正規登録している業者なら、セーシェルの金融庁の「REGULATED ENTITIES」の「CAPITAL MARKETS」に記載されているはずです。
XMのサイト名が明記されていますね。
このようにきちんと各金融庁の公式サイトで確認してから、口座を開設するようにしてください。
海外FXならではのリスク2:ロスカットの基準が低い
国内FX業者でも海外FX業者でも、保有ポジションによる損失が大きくなるときは自動的に取引が中止される「ロスカットシステム」が作動します。
ロスカットシステム自体はトレーダーの損失を軽減する目的のシステムですから、ロスカットが作動することでトレーダーは安心してFX取引をすることができるのです。
しかしながら、ロスカットの基準が高いと為替変動が激しいときにはすぐにロスカットが作動してしまい、利益確定するまでに自動的に取引が終了してしまうというデメリットがあります。
国内FX業者のほとんどは証拠金の50%程度でロスカットが作動しますので、為替変動が激しいときにはトレードが難しくなってしまいます。
一方、海外FX業者はロスカットの基準が証拠金の10~30%と低いことが多いため、為替変動が激しいときでも取引をそのまま継続することが可能です。
しかし、ロスカットの基準が低いということは、ロスカットされたときには証拠金がほとんど失われていることでもありますから、入金した資金を失いやすいともいえるのです。
対処方法:ハイレバレッジを利用した高額取引を自制する
ハイレバレッジかつ高額の取引を実施すると、ロスカットされたときのダメージが大きくなります。
ハイレバレッジが魅力の海外FX業者を利用するときは、投入する資金を自制して、本当に失っても良い金額だけを入金するようにしてください。
海外FXならではのリスク3:スプレッドが広い
最近では海外FX業者と日本のFX業者とのスプレッド差が縮まってきたとはいえ、依然として、国内FX業者の方がスプレッドが狭いことが多いです。
スプレッドが広いということは手数料が大きいということに他なりませんから、トレーダー側の利益は少なくなってしまいます。
狭いスプレッドで取引をしたいなら、国内FX業者を利用する方が良いでしょう。
対処方法:スプレッドが狭い口座を選択する
国内FX業者と比べるとスプレッドが広い海外FX業者ですが、実際のところ、海外FX業者の中にはスプレッドを最小限に抑える「ゼロスプレッド口座」と呼ばれる口座を提供している業者も少なくありません。
例えばXMの「ZERO口座」やAxioryの「ナノスプレッド口座」、Titan FXの「Zeroブレード口座」などは、スプレッドが最小限に抑えられており、国内FX業者とほぼ変わらぬお得なトレードができるようになっています。
海外FX業者の口座を開設するときは、スプレッドが狭く設定されている口座を選ぶようにしてください。
ただし、スプレッドが狭く設定されている口座は、スプレッド以外に「取引手数料」が加算されることが多いです。
一方、スプレッドが狭く設定されていない口座は、スプレッド以外には手数料が不要になっていることが多いため、トータルで見るとどちらがお得かは取引のタイミングや利用業者によって異なり、一概に判断することはできません。
海外FX業者では同一業者内に複数の種類の口座を開設できるようになっていますので、実際にさまざまな種類の口座を開設してみて、もっともお得に利用できる口座をメインにするようにしてはいかがでしょうか。
海外FXならではのリスク4:入出金に高額の手数料がかかる
国内FX業者では、大抵入出金の手数料は無料になっています。
最初に国内の銀行口座を登録しておけば、手数料無料で資金移動できるようになっています。
出典:SBI FXトレード「入出金手続きに関するサービスの改善」
例えば国内FX業者のSBI FXトレードでは、ワンクリックで入金できるサービスは元々無料でしたが、2017年3月17日に最低入金額が1,000円に引き下げられ、さらに便利に利用できるようになっています。
また、2017年2月27日から金額に関わらず出金手数料が無料になり、利益確定した資金をこまめに銀行口座に移動することができるようになりました。
一方、海外FX業者では、日本国内の銀行口座から入出金する際に数千円の高額の手数料がかかることが一般的です。
「入出金手数料無料」を謳い文句にしているFX業者を利用する場合でも、日本国内の銀行側が海外FX口座との入出金に対しては手数料を課していますので、結局は高額な手数料が発生してしまうのです。
対処方法:クレジットカードやオンラインウォレットを利用する
手数料を節約したいなら、日本国内の銀行口座を入出金に使用せずに、クレジットカードやオンラインウォレットを入出金に使用してはいかがでしょうか。
クレジットカードなら1回あたり500円程度、オンラインウォレットなら1回あたり800円程度で入出金ができますよ。
例えば日本人トレーダーに人気のほとんどすべての海外FX口座に対応しているbitwalletは、わずか824円で銀行口座に入金できます。
海外FX口座を利用するなら、海外FX口座に対応しているオンラインウォレットも開設しておくと便利ですね。
なお、マネーロンダリングを防ぐために、入出金の方法は同じでないといけないと定められている業者が多いです。
クレジットカードで入金したときはクレジットカードで出金、オンラインウォレットで入金したときはオンラインウォレットで出金するようにしましょう。
海外FXならではのリスク5:国内口座に入金されるまでに時間がかかる
国内銀行から国内FX業者への入出金は、平日の営業時間内なら瞬時に可能です。
ネット銀行なら、24時間365日いつでも瞬時に入出金ができることもあります。
一方、海外FX口座への入出金は、少々時間がかかります。
日本人トレーダーが多いXMでも3営業日かかりますので、日本人トレーダーが少ない海外FX業者ならさらに長い時間がかかると考えられますね。
対処方法:クレジットカードやオンラインウォレットを利用する
銀行を経由するとどうしても入出金にかかる時間が長くなってしまいますので、クレジットカードやオンラインウォレットの利用をおすすめします。
例えば先ほど紹介したbitwalletなら24時間以内に入出金が可能ですので、急ぎのトレードのときも待ち時間を減らすことができますね。
海外FXならではのリスク6:突然口座が凍結される恐れがある
口座が凍結されると、せっかく利益が出たとしても銀行口座やクレジットカードに資金を移動することがなくなってしまいます。
「そんな馬鹿なことがあるのか?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際に口座凍結で利益を出せなくなってしまったケースも数多く報告されています。
海外FX業者に限らず、国内FX業者でも口座凍結はよく見られるようです。
対処方法:こまめに利益を送金しておく
入出金手数料がかかると思うと、つい「ある程度、利益が溜まってから出金しよう」という気持ちになってしまいますが、口座が凍結されて資金移動できなくなってしまっては元も子もありませんよね。
利益が出たらこまめに銀行口座等に資金移動しておくようにしてください。
FX口座には常に「なくなっても構わない」と思える資金だけを入金しておくことが大切です。
海外FXならではのリスク7:突然口座廃止される恐れがある
口座凍結だけでなく口座廃止されるリスクもあります。
例えば日本人トレーダーからも人気を集めていたオーストラリアのFX業者「Pepperstone」は、2014年12月31日以降は日本在住のトレーダーとの取引を完全中止しました。
他の国に在住しているトレーダーとは現在も取引を実施していますので、Pepperstone自体が営業廃止したのではなく、あくまでもPepperstoneの日本国内における営業だけを廃止したことが分かります。
取引を中止した後も口座を放置しておくなら、口座に入金している資金が出金できなくなる恐れがあります。
対処方法:各FX業者のお知らせページをこまめにチェック
一般的に、突然口座が廃止されることはほとんどありません。
通常は数週間前に取引業者から口座廃止についての案内メールが届きますので、口座廃止日までに資金を出金しておきましょう。
しかし、すべてのFX業者が丁寧にお知らせメールを送ってくれるわけではありませんから、こまめに各FX業者のお知らせページをチェックし、何か大きな動きがないか確認しておきましょう。
海外FXならではのリスク8:信託保全されていない可能性がある
日本の金融庁に登録しているFX業者は、かならず信託保全を実施していますので、万が一、FX業者自身の業績が悪化したとしてもトレーダーの資金は守られます。
しかし、海外の金融庁では、信託保全を登録のための条件としていないことがあり、自主的に信託保全を実施していない業者を利用すると、最悪の場合、業績悪化のあおりを受けてトレーダーの口座残高が0になってしまうこともあります。
対処方法:信託保全システムのある海外FX業者だけを利用する
海外FX業者の中には信託保全システムを設けている業者もあります。
例えば以下の海外FX業者では、それぞれ独自の信託保全システムでトレーダーの資産を守っています。
海外FX業者 | 信託保全システム |
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資金全額がXMとは別個の銀行に保管されるため、全額信託保全される |
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トレーダーが入金した金額全額がAxioryとは別個の金融機関に保管されるため、入金額に対しては全額信託保全される |
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トレーダーが入金した金額全額がiForexとは別個の金融機関に保管されるため、入金額に対しては全額信託保全される |
入金した資金が守られる海外FX業者を選び、万が一に備えておきましょう。
海外FXならではのリスク9:金融ライセンスが取り消される恐れがある
金融ライセンスというものは永続するものではありません。
一度、特定の国の金融庁でFX業者としてライセンスを受けたとしても、業務上に問題があったときなどは金融ライセンスが取り消されることもあるのです。
口座を開設するときには正規のFX業者であったとしても、いつのまにかライセンスを執行し、無ライセンスの業者となっていることも珍しくないのです。
対処方法:各FX業者が登録している金融庁の公式サイトを定期的に確認する
口座が廃止されるときにはFX業者からメールで案内が届くことが多いですが、金融ライセンスが取り消されたときにFX業者からメールで案内が届くことはありません。
「信頼できる業者でFXトレードをしたい」と願うのは当然のことですので、無ライセンスの業者と知りつつトレードを続けることを選択するトレーダーは少ないと予想されるからです。
知らないうちに取引業者が無ライセンスだったという事態を避けるためには、各業者の登録金融庁の公式サイトを定期的に確認することをおすすめします。
例えばXMならセーシェルの金融庁に登録していますので、数ヶ月に1度はセーシェルの金融庁のホームページをチェックし、現時点でもXMがセーシェルの金融庁に登録しているのかどうかを確認してください。
正規の業者と取引するということはあなたの資産を守ることでもありますので、面倒に思わずに定期的に金融庁の公式サイトをチェックしてくださいね。
海外FXならではのリスク10:言語と時差によるトラブルもある
日本語で口座開設できる海外FX業者も増えてきましたが、ページの細部を見るとおそらく自動翻訳機を使ったと思われる意味が分かりにくい日本語が記載されていることもあります。
また、日本語でメールサポートを受けられる業者も多いのですが、不明瞭な日本語で返信を受け取ることもあり、意志疎通が難しいケースも稀にあります。
その他にも、サポートサービスが業者の国の営業時間帯だけに提供されているため、日本時間の日中には受けられないというケースもあります。
対処方法:日本語サポートサービスが機能している業者に口座を開設する
海外FX業者の公式サイトが日本語で作られていたとしても、日本語のサポートサービスが機能しているとは限りません。
かならず口座を開設する前に、日本語サポートにメールやチャットを送り、本当に日本語でのサポート体制が完備されているのか確認するようにしてください。
業者によってはライブチャットは日本時間の夜中しか使えないこともありますが、安全な業者を探すためにも、ぜひとも日本語サポートサービスをチェックしてから口座開設するようにしてくださいね。

